7月11日前後のXで、介護分野の人材確保と処遇改善をめぐる複数の投稿が反響を集めました。訪問介護事業者向けに「介護の給与を上げても日本人は来ない、外国人を呼ぶしかない」との論調が広がるなか、「手取り最低30万からで本当に応募が無いか試してみて」と切り返した投稿は6,093件のいいねと10万表示を記録しました。
外国人受入前に氷河期世代や介護・子育て離職者の再雇用が先ではないかとの政策批判、インドネシア留学生に年370万円を支給する自治体への疑問、無認可老人ホームと生活保護・訪問介護を組み合わせた囲い込みビジネスへの告発まで、介護人材政策の順序と処遇のあり方が問われました。
本記事では特に反響の大きかった4件を取り上げ、リプライや引用リポストで寄せられた現場と読者の反応を整理します。
本日のハイライト
- 「手取り30万から試してみて」の投稿は6,093件のいいねと10万表示を記録し、元介護福祉士や現役介護士から「30万なら戻ります」の声が集中
- 「氷河期世代の再雇用が先では」との政策順序を問う投稿は2,004件のいいねと3.7万表示、当事者から「諦めないでほしい」との共感が寄せられた
- インドネシア留学生への年370万円支給の自治体を挙げた投稿は437件のいいねを集め、介護職員の手取りの低さと政策の優先順位への疑問が広がった
「手取り30万から試して」介護給与を上げても日本人は来ないは本当か
何が起きた?
介護の給与を引き上げても日本人応募者は来ないため外国人受入で補うしかない、との論調に対し、7月11日夜に日暮れひぐれん氏が「手取り最低30万からと提示して、本当に応募が無いかどうか試してみて」と反論した投稿がXで拡散しました。介護職員の平均給与は処遇改善加算(介護報酬に上乗せされる職員賃金改善の加算)を含めても他業種より低いとの指摘が続いており、低賃金と外国人受入政策の因果関係が改めて議論の的になりました。
注目の投稿
日暮れひぐれん(@higureshuuen)
この投稿は約10万回表示され、6,093件のいいねと904件のリポストを集めました。
Xでの反応
賛成・共感の声
- .com(@comiCloud2):元介護福祉士として、最低で手取り30万からなら「めっちゃくると思いますよ」と現場感覚から同調(📎 投稿を見る)
- うしこ(@owaru_ryudoh):「マッチョに手厚い福利厚生」で介護職員を集めた会社の実例を挙げ、待遇設計次第で人は集まると指摘(📎 投稿を見る)
- さゆ(@mfUhFd9z1rr3aNq):資格保有者で現在は別業種、「今の仕事辞めて介護に戻りますよ」と手取り30万なら復職する意向を表明(📎 投稿を見る)
- 来栖(@kurusu_taichi):現役介護士として「手取り30万なら戻ってくる人もいる」と賛同しつつ「続くかどうかは別として」と留保(📎 投稿を見る)
反対・懸念の声
- GMP48(@MADGMP):手取り30万にしても「外国人が入り込みそうで怖いな」現制度は雇う側にも補助金が入るためと危惧(📎 投稿を見る)
- みっち(@micci_dotter):給与を上げるには客単価アップか担当利用者数増加か補助金しか選択肢なく、補助金は平均給与超で反発が予想されると指摘(📎 投稿を見る)
- 東雲常(@shinonomebreak):自ら老人ホーム経営で「実例見せれば良いんじゃないか」との厳しい返し(📎 投稿を見る)
出典・一次情報
- 元投稿:日暮れひぐれん氏の投稿
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
- 厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」一覧:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/151-2.html
ポイント
「30万で試してみて」との現場発の反論は、処遇改善加算を積み上げても手取りが伸びにくい現状への実感が背景にあり、外国人受入と国内人材確保の議論を「金額の実額」に引き戻す論点となっています。
「氷河期世代の再雇用が先では」外国人受入前の政策順序を問う投稿
何が起きた?
7月11日昼、あの佐々岡氏が「人手不足だから外国人を受け入れる、その前に氷河期世代や病気・介護・子育てでキャリアが途切れた人を企業がもう一度雇って育てられる仕組みを作ったか」と、政策の順序を問う投稿を公開しました。就職氷河期世代(概ね1970年代半ば〜1980年代前半生まれ)は正規雇用機会を逃した層が多く、内閣官房・厚生労働省が就職氷河期世代支援プランで再就職支援を続けているとされています。介護分野は再チャレンジ受入の重点分野に位置付けられてきましたが、当事者からは「使えない人材」に早々に分類されたとの受け止めも根強くあります。
注目の投稿
あの佐々岡(@anosasaoka)
この投稿は約3.7万回表示され、2,004件のいいねと715件のリポストを集めました。
Xでの反応
賛成・共感の声
- なお(@0oiwjeTYSeVIhDJ):「氷河期世代を諦めないでほしいです」と当事者側から共感の声(📎 投稿を見る)
- Ryoko(@Ryoko711):氷河期世代の20代当時カナダ・豪州・NZに日本人若者が多く住んでおり「受け入れてくれればよかったんだが」と回顧(📎 投稿を見る)
- 芒(@nogihanogi):日本人を解雇して移民を雇用すれば「日本人の雇用先が消え去る」だけとの懸念(📎 投稿を見る)
- 拓海銀二(@takumi_ginji):「生活出来ない給与額を提示して」求人しても来ないと嘆く経営側の姿勢を批判(📎 投稿を見る)
反対・懸念の声
出典・一次情報
- 元投稿:あの佐々岡氏の投稿
- 内閣官房「就職氷河期世代等支援」:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/index.html
- 厚生労働省「就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース事業」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12131.html
- 厚生労働省「中高年の活躍支援」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/shushoku_hyogaki_shien.html
ポイント
外国人受入と国内再雇用は本来二者択一ではありませんが、投稿者が問うたのは「順序」であり、氷河期世代や介護離職者の再チャレンジ枠が制度上の仕組みとして機能してきたかを問い直す視点は、介護事業所の採用戦略にも通じます。
「留学生に年370万円、日本人には奨学金返済」介護人材支援の順序への疑問
何が起きた?
7月11日昼過ぎ、郷田剛士サブ氏が「介護人材確保のため、インドネシアの留学生に1人あたり年370万円を支給する自治体が出てきた。そのお金で日本人学生や介護職希望者に支援すれば、もっと人材が集まるのではないか」と、外国人介護留学生への手厚い支援と日本人の奨学金返済負担の対比を問題提起する投稿を公開しました。特定技能・在留資格「介護」・技能実習の各ルートで外国人介護人材受入は拡大してきましたが、自治体独自の留学生支援金は「支給額」の妥当性や「日本人への同水準支援の欠落」で議論を呼びやすい領域です。
注目の投稿
郷田剛士サブ(@oidonhagouda2)
この投稿は3,983表示で、437件のいいねと140件のリポストを集めました。
Xでの反応
賛成・共感の声
- ミコちゃん(@OQbMeQ107jLOaxW):介護職員の「手取りが少な過ぎ」結婚を機に転職した男性社員もいたと具体例(📎 投稿を見る)
- シュセイニシ(@ShuseiNishi):介護は下の世話や人命に関わる仕事なのに「底辺職扱いの安月給」と評価され、自己評価低下から離職に至る構造を身内の実例で説明(📎 投稿を見る)
- やまやま(@Ky06911440):「ばら撒きは利権や腐敗に繋がる」地方交付金でばら撒かれていると財政の使途を批判(📎 投稿を見る)
- にこちゅう(@eie28620):「日本国民を大事にしない」不正の仕組みがあるから外国ばかりにお金が使われる、との不信感(📎 投稿を見る)
反対・懸念の声
- きんじい(@kinjielel):「日本の労働者の絶対数が低い」以上「外国から人材確保するしかない」と現実論(📎 投稿を見る)
出典・一次情報
- 元投稿:郷田剛士サブ氏の投稿
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28131.html
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
ポイント
「留学生に年370万円」の妥当性は自治体施策の詳細を確認しないと断定できませんが、投稿者が問うたのは「同じ財源で日本人希望者を支援すれば人材が集まるのではないか」との優先順位であり、事業所が地域の人材確保策を選ぶ際にも押さえておきたい論点です。
「無認可老人ホームで生活保護+訪問介護の囲い込み」事業者からの告発
何が起きた?
7月11日夕、介護事業者の谷本吉紹氏(エースタイルGroup)が、マンションオーナーと組んで生活保護受給者を集め、訪問介護を次々投入する「無認可老人ホーム」の実例に警鐘を鳴らす投稿を公開しました。同氏は追加のリプライで「本人に必要な量を超えるサービスを組む」「実質的に他の事業所を選べない囲い込みをする」「利益優先でケアプランが作られる」「自由な外出やサービス選択が制限される」と具体的な問題点を挙げています。訪問介護の同一建物減算や区分支給限度基準額との関係を含め、囲い込みは介護保険制度上の重点論点として厚生労働省が指導強化を続けてきた分野です。
注目の投稿
谷本吉紹|エースタイルGroup(@kaigo_akaruku)|介護事業者
この投稿は約2.6万回表示され、176件のいいねと15件のリポストを集めました。
Xでの反応
賛成・共感の声
- DE hack(@kaigonojyunin):規制強化で住宅系が「地下へ潜り出した」構造を指摘し、住宅確保困難者への社会的意義を認めつつ「囲い込まないと採算取れない」現実の板挟みを解説(📎 投稿を見る)
- ふうた(@futa_fsgroup):無認可の障害グループホームでも「周辺サービスで利益作って」スタッフ配置を回避するスキームを聞くと障害福祉分野の類似例を提示(📎 投稿を見る)
- ゆうきち(@pokekayukiti):「札幌かなり多いです」と地域での類似運営の広がりを報告(📎 投稿を見る)
反対・懸念の声
- 無職.exe(@msk_exe_):法グレーか「介護をビジネスにしてる」からかを分けて論じ、後者なら「何の問題もない」との反論(📎 投稿を見る)
- トコトコさん(@norimane2018):生活が苦しい高齢者に生活保護と住まい・介護サービスを提供する構造で「生活が良くなるならいい」「何が悪いのかがよくわからない」との別視点(📎 投稿を見る)
出典・一次情報
- 元投稿:谷本吉紹氏の投稿
- 厚生労働省「訪問介護(同一建物減算・囲い込み対策)」関連通知:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kaigo_koureisha/index.html
- 厚生労働省「介護保険最新情報」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188434.html
ポイント
事業者自身が「制度の網目を利益に使う」構造を告発した点に本投稿の重みがあり、無認可住居型サービスと訪問介護の組み合わせは、事業者・自治体・利用者家族のいずれの立場でも仕組みの理解が欠かせない領域です。
今日のまとめ
- 「手取り30万から試して」の投稿は6,093件のいいねと10万表示を集め、賃金の実額をめぐる現場と経営の距離が改めて可視化された
- 外国人受入と氷河期世代・介護離職者の再雇用は二者択一ではなく、政策の順序と国内人材の再チャレンジ枠の実効性が問われている
- 無認可老人ホームと訪問介護の囲い込みは事業者側からも告発される段階に入り、制度の網目を塞ぐ運用改善が必要との指摘が広がった
介護人材と処遇改善、外国人受入政策、囲い込み規制は互いに絡み合う論点で、次の一手を選ぶには財源・制度・現場の3つの視点を重ね合わせる必要があります。関係する制度改定や自治体施策の動向は、厚生労働省・各自治体の公式発表を継続してご確認ください。
関連する質問(よくある疑問)
Q1. 介護職員の平均給与や「手取り30万」の水準はどのくらい実現可能ですか?
A1. 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、月給制・常勤の介護職員の平均給与月額は338,200円(処遇改善加算取得事業所対象)とされていますが、税・社会保険料控除後の「手取り」は夜勤手当の有無で差が大きいと指摘されています。応募時に手取りの内訳や夜勤手当・賞与込みの年収レンジを確認することが重要との指摘があります。
Q2. 就職氷河期世代や介護離職者を介護分野で再雇用する公的支援はありますか?
A2. 内閣官房「就職氷河期世代等支援」と厚生労働省の関連施策で、対象者向けに「短期資格等習得コース事業」が運営され、IT・介護等の分野で資格取得支援が続けられているとされています。介護分野は再チャレンジ受入の重点分野に位置付けられてきたと考えられていますが、周知や定着支援に課題があるとの指摘もあり、詳細は厚生労働省・内閣官房の公式発表をご確認ください。
Q3. 外国人介護人材への自治体支援や制度枠組みはどこで確認できますか?
A3. 外国人介護人材の受入枠組みはEPA(インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能「介護」の4ルートがあるとされ、自治体独自の留学生支援金や住居費補助は地域ごとに大きく異なると考えられています。詳細は各自治体窓口/厚生労働省老健局公式サイトをご確認ください。

