7月2日前後のXでは、在宅入院(Hospital at Home)制度や訪問看護ステーションの経営環境、医療的ケア児議員立法など、訪問看護と在宅医療の制度・経営に関わる投稿が相次いで話題になりました。DPC入院と在宅入院の医療費比較、台湾の在宅治療完結率、令和8年4月時点の訪問看護ステーション数など、数字を伴う発信が拡散しています。本記事では、制度・経営・多職種連携の視点から4つの注目トピックを整理します。
本日のハイライト
- 在宅入院制度の発信が約6.2万表示、DPC入院「3週間で100万円以上」との経済比較が拡散
- 台湾で入院適応8,000人の80%以上が在宅で治療完結、医療費は病院入院の半分との紹介が約6万表示
- 令和8年4月1日時点の訪問看護ステーションは20,051事業所、前年度から1,297増で「多産多死」の指摘
- 上川陽子衆院議員が都内3施設を視察、医療的ケア児議員立法の推進を表明
トピック1:在宅入院制度と医療費比較「DPCは3週間100万円以上、在宅なら医療費のみ」
何が起きた?
7月2日午後、腫瘍内科医の投稿者が「救急搬送の主体が85歳以上となる日本」を前提に、在宅入院制度(Hospital at Home、HaH:入院相当の医療を自宅で提供する仕組み)の実現による意義を発信しました。DPC(診断群分類包括評価)入院を「1日5〜8万円で3週間で100万円以上」と示し、在宅入院であれば「医療費のみ」で対応できるとする経済比較が、約6.2万表示の反響を集めました。リプライには在宅医、開業医、腫瘍内科医らから制度設計上の論点が寄せられています。
注目の投稿
ツチノコ在宅ケモ屋(@tsurutacl)|腫瘍内科医
この投稿は約6.2万回表示され、31件のリポストと171件のいいねを集めました。
Xでの反応
賛成・共感の声
- 田村綾子(@oosaka_tamura):病院機能集約化のペースが早くなり、在宅医療が受け皿となるため国・医療機関・地域が急ピッチで準備を進める必要があるとの認識を示しました(📎 投稿を見る)
- 平和的なJ(@peaceful_j_):日本病院学会で「肺炎とUTI(尿路感染症)とあと一つがほとんどなのだから、それはもう家でみましょう」と話題になっていたと補足しました(📎 投稿を見る)
反対・懸念の声
- 九重(@ftYqRODblb73361):HaHの適応判断を第三者が担う必要があるが、病院が判断すると病床稼働率と結びついてしまうため制度設計が難しいと指摘しました(📎 投稿を見る)
- ウロまめた(@urolobean):「家で見てたら死にました、どう責任取ってくれるんですか」と訴訟化する懸念があり、医療を受けていれば死なないという考えの家族が増えていると懸念を示しました(📎 投稿を見る)
補足・情報の声
- 吉川 ひびき(@malon_biobiobio):訪問診療医として肺炎の在宅看取りの難しさとACP(人生会議)の難しさを実感しており、患者・病院・医療費の三方よしを願うとコメントしました(📎 投稿を見る)
- ツチノコ在宅ケモ屋(@tsurutacl):投稿者自身が補足として、急変リスクを最初にきちんと説明することや、腫瘍内科での緩和ケア移行の経験をもとに家族の雰囲気に合わせた微調整が必要と述べました(📎 投稿を見る)
出典・一次情報
- 厚生労働省「地域医療構想」ページ(医療機能分化・在宅医療の受け皿に関する政策資料):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html
- 厚生労働省「DPC/PDPS(診断群分類別包括評価)」制度解説:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html
- Hospital at Home(在宅入院)に関する国内外の運用は現時点で確立した診療報酬体系がなく、一次情報として制度化された告示は未確認です
ポイント
在宅入院制度は経済比較の観点で注目される一方、適応判断の第三者性や訴訟リスクなど制度設計上の論点が並立します。訪問看護ステーションとしては、地域医療構想の下で在宅医療の受け皿を担う自ステーションの体制(24時間対応・緊急訪問看護加算等)を制度動向と併せて確認しておく必要があります。
トピック2:台湾の在宅入院拡大「8,000人の80%以上が在宅で治療完結、医療費は半分」
何が起きた?
同日午後、医療法人社団悠翔会理事長の佐々木淳医師が、台湾における在宅入院プログラムの実績を発信しました。過去2年で入院適応の8,000人を在宅で治療し、80%以上が在宅で治療完結、3ヶ月以内の再入院率・死亡率は病院入院と同等で、医療費は病院入院の半分だったと紹介。台湾政府は急性期疾患の在宅入院への包括支払いを拡大する方針だとして、日本の在宅医療政策への示唆を促す投稿となりました。約6万表示を集めています。
注目の投稿
佐々木 淳 医療法人社団悠翔会 理事長(@junsasakimdt)|在宅医
この投稿は約6.0万回表示され、20件のリポストと105件のいいねを集めました。
Xでの反応
補足・情報の声
- 永遠の下っ端Dr.3.5y(@GTVCTVPTV):台湾で数年前にできた病人自主権利法の影響ではないかと問いかけ、少子高齢化の進行が日本以上と知り、日本が見習える点があれば知りたいと発信しました(📎 投稿を見る)
出典・一次情報
- 台湾の在宅入院プログラム(Hospital at Home)に関する政府方針は台湾衛生福利部の公表資料が一次情報となりますが、日本語での公式発表は未確認です
- 厚生労働省「在宅医療の現状と課題」資料:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html
- 悠翔会 佐々木淳理事長 公式サイト:https://yushoukai.jp/
ポイント
国際比較の視点で在宅入院の運用実績が可視化されたことは、日本の診療報酬体系(在宅療養支援診療所・機能強化型訪問看護ステーション等)を再検討する際の参照材料となる可能性があります。訪問看護経営としては、包括支払いへの制度シフトが起こった場合の収益構造への影響を早めに検討しておくことが有用と考えられます。
トピック3:訪問看護ステーションが20,051事業所に、前年度から1,297増「多産多死」の実態
何が起きた?
7月2日朝、看護師・保健師の川添高志氏が、令和8年4月1日現在の訪問看護ステーション稼働数を「20,051事業所」と発信しました。前年度から1,297事業所増で、都道府県別では大阪+234、神奈川+119、愛知+112と大都市圏で増加、新潟-24、鳥取-17、富山-1と地方で稼働数が減少。令和7年度の廃止数960、休止数328件を踏まえ「多産多死」の実態を指摘しました。訪問看護経営の集中と淘汰を数字で示す投稿として関係者に注目されました。
注目の投稿
川添高志|看護師、保健師(@kawazoetakashi)|看護師
この投稿は約3,859回表示され、19件のリポストと28件のいいねを集めました。
出典・一次情報
- 全国訪問看護事業協会「令和8年度訪問看護ステーション数調査結果」(PDF):https://www.zenhokan.or.jp/wp-content/uploads/r8-research.pdf
- 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション基本情報」:https://www.zenhokan.or.jp/new/topic/basic/
- 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(訪問看護ステーションの統計):https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/24-22-2c.html
ポイント
訪問看護ステーション数が2万事業所を超え、大都市圏の増加と地方の減少という偏在が顕在化しています。経営者としては、地域内の競争環境の変化と休廃止の要因(人員配置基準・24時間対応の負荷等)を踏まえ、機能強化型への移行や複数拠点運営など経営戦略の見直しが議論の対象となります。
トピック4:上川陽子衆院議員、都内3施設を視察「医療的ケア児議員立法を必ず通す」
何が起きた?
7月2日夕方、上川陽子衆議院議員が、衆議院の地こデジ(地方こども・デジタル)特別委員会で都内3施設を視察し「医療的ケア児議員立法を必ず通して参ります」と発信しました。医療的ケア児支援法(2021年施行)の運用強化や関連立法の動向は、訪問看護療養費・重症心身障害児(者)在宅レスパイト事業・多職種連携体制などステーション経営に直結する制度課題であり、政治家発信として注目を集めています。
注目の投稿
上川 陽子(@Kamikawa_Yoko)|衆議院議員
この投稿は約1,887回表示され、18件のリポストと100件のいいねを集めました。
Xでの反応
賛成・共感の声
- Sweet Dreams(@happy214_a):陽子先生の力強い言葉が頼もしいとし、医療的ケア児と家族のために頑張ってほしいと激励を寄せました(📎 投稿を見る)
- リチャード(@sugayoshichan):上川議員の視察と発信に対して「お疲れさまです」と労いのコメントを寄せました(📎 投稿を見る)
出典・一次情報
- 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法):https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC1000000081
- こども家庭庁「医療的ケア児支援」ページ:https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/iryouteki_care/
- 衆議院 地方創生及びこども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会(地こデジ特別委員会):https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/iinkai/tikodedigital.htm
ポイント
医療的ケア児支援法の運用強化や関連立法の動きは、訪問看護療養費・レスパイト事業・多職種連携体制など、訪問看護ステーションの経営と現場運用に直結する政策動向です。関連法令の改正動向は、担当自治体・こども家庭庁の公表情報を継続的に確認することが望まれます。
今日のまとめ
- 在宅入院(HaH)制度の経済比較(DPC入院3週間100万円以上と在宅の対比)が約6.2万表示で拡散、適応判断の第三者性や訴訟リスクなど制度設計上の論点も並立
- 台湾の在宅入院実績(8,000人の80%以上が在宅で治療完結・医療費半分)が国際比較の材料として紹介、包括支払い拡大の方針が日本の制度検討にも示唆
- 令和8年4月時点の訪問看護ステーション稼働数は20,051事業所と2万事業所超え、大都市圏で増加・地方で減少、令和7年度廃止960件の「多産多死」実態
- 上川陽子衆院議員が医療的ケア児議員立法の推進を表明、訪問看護療養費・レスパイト事業の運用強化に直結する政策動向
在宅医療の受け皿としての訪問看護ステーションは、制度改定と地域偏在の両面で経営環境が動いています。地域医療構想・診療報酬改定・議員立法の動向を継続的に確認し、多職種連携と経営戦略の見直しに活かすことが望まれます。
関連する質問(よくある疑問)
Q1. 在宅入院制度(Hospital at Home)は日本で診療報酬化されていますか?
A1. 現時点で日本には「在宅入院」として独立した診療報酬項目は設定されていないとされています。在宅医療については在宅療養支援診療所・機能強化型訪問看護ステーション・在宅患者訪問診療料などの体系で運用されているとの整理が一般的で、Hospital at Homeに相当する包括支払いの導入可否は、地域医療構想や中医協の議論の中で今後検討される可能性があるとの指摘があります。
Q2. 訪問看護ステーションの稼働数はどの統計で確認できますか?
A2. 訪問看護ステーションの稼働数は、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」や「衛生行政報告例」、全国訪問看護事業協会の事業所数調査などで確認できるとされています。都道府県別・機能強化型別の内訳や廃止・休止の件数は、公式統計や業界団体の集計を組み合わせて把握する必要があると考えられています。
Q3. 医療的ケア児支援法の運用強化について訪問看護事業者はどこで情報収集すればよいですか?
A3. 医療的ケア児支援法の運用状況や関連通知は、こども家庭庁の医療的ケア児支援ページや障害福祉サービス等報酬改定資料で確認できるとされています。訪問看護療養費や重症心身障害児(者)在宅レスパイト事業の運用は自治体によって扱いが異なるとの指摘があり、詳細は厚生労働省医政局公式サイト/各都道府県の担当窓口をご確認ください。
※本記事は制度・経営の観点からの情報提供です。医療判断や具体的な治療・ケア方針については、必ず主治医・担当看護師にご相談ください。

